スタッフとこどもや家族との関係をつくる仕掛け

 スタッフと、こどもや家族との関係ができていることは、こどもと家族の治療への前向きな姿勢を引き出したり、関係者が一体となってこどもの療養や成長・発達に向かう体制づくりの基礎となります。家族やこどもにとっても信頼や関わりの関係をベースが深まるなかで、悩みや不安を吐露できるようになりますし、スタッフにとっても協力を得られて負担の低減につながります。環境づくりによって、スタッフと、こどもや家族との関係づくりを支援することができます。

 廊下に、病棟のスタッフの紹介ボードが設置されています。名前と顔を覚えられることで、なじみの関係をつくりやすくなります。個人の趣味や出身県、好きな食べ物など、個人のキャラクターがわかる情報が添えられていると、さらにその人を覚えやすかったり、親近感を感じやすかったりします(エピソード記憶)。また、「○○さんは、ラーメンが好きなの? 僕も!」などの、会話のきっかけにもなります。

 キャラクターなどを添えた名札を身につけているなども、同様の自己紹介になります。病状(安静指示等)によっては掲示を見に行けないこどももこどもたちがその場で反応しやすく、会話にもつながりやすいかもしれません。

 スタッフの服装についても、多くの医療機関で、こどもや家族が親しみを感じやすい色や柄のものを採用する、キャラクターの小物(ペンなど)を身につける等の配慮がなされています。[治療・検査時の心的負担の軽減]で紹介している、動物などのキャラクターをあしらったマスクなども同様にこどもや家族とスタッフとの心理的距離を縮めます。

 建築空間としては、[生活やくつろぎの雰囲気]があると、お互いに打ち解けやすいでしょう。他に、スタッフステーションが外からよく見えてスタッフに話しかけやすい、スタッフステーションの近くに気軽に滞在できる場所があって会話のきっかけを見つけやすい、家族とスタッフが静かに話せる面談スペースがある、などがこどもや家族とスタッフとの関係づくりを助けます。

(富山大学附属病院)

 写真は、スタッフステーションが面したエレベーターホールにベンチが置かれていて、この場所が家族や患児、お見舞いに来たきょうだいなどの滞在場所として活用されている様子です。この場所はスタッフステーションに面していて看護師の動線にあたるため、しばしば家族とスタッフとのちょっとした会話が生まれています。

(東京女子医科大学東医療センター)

 この写真は、スタッフと家族がこどもの状態やこれからの見通しなどを話す場として設けられた面談室です。ゆったりした雰囲気の家具が選ばれ、穏やかで温かな印象の画や照明器具があつらえられています。深刻な状況や厳しい見通しの内容が話されることもしばしばあるため、家族が話を受け止めやすい環境づくりは大切で、窓があり外が見えることなども心理的な逃げ場所を提供しやすい(追い込まれてしまいにくい)と言えます。

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