家族とつくる環境

 保育者のいる時間帯には付添家族が少しだけ自分の時間ができる時間帯、と位置づけている場合があります。家族にとっては大切な息抜きや、用事を済ませる時間帯となっているでしょう。

 一方、保育者やCLSがこどもと一緒に遊んだり、環境をつくったりすることは、こどもを取り巻く環境としての人間関係づくりにつながります([スタッフとこどもや家族との関係をつくる仕掛け])。また、家族にとってはこどもとの関わり方や、環境づくりの方法を保育者や他の家族から教わる機会、また療養環境づくりに参加することで、愛着や主体性をもてたり、貢献による満足感を得る機会にもなるでしょう。もちろんご家族の状況によってはあまり保育や環境づくりへの参加を望まない場合もあるでしょうが、共同作業や活動への参加による時間や価値観の共有、あるいは経験や思い出はまた、何にも替えがたいものともなり得ます。

 これは、入院している患児の家族が協力してつくった遊具の例です。こどもたちにとっては、お父さん、お母さんが造ってくれた遊具!は本当に嬉しいでしょう。こうした活動は保護者同士の関係づくりにもつながりますし、特に普段の付添が難しいご家族にとっては、こどもの療養の支援に主体的に係わる機会としても大事な役割を担っているようです。また、遊具づくりに直接参加していないご家族やこどもたちにとっても、「入院生活の先輩」たちが残していった、というお話は、医療スタッフとご家族とが一緒に療養のための環境をつくっていくのだという目に見えるメッセージとして大切な役割を果たしています。

 また、病棟内での入院児たちの「親の会」を設けている例や、その会に対してアンケートを実施し、患児家族が抱えている問題を把握することや、それらの問題を解決することを検討している例もあります。入院中のこどもと付添家族が問題と感じていることとしては例えば、付き添い・面会・設備・食事について意見が出ているそうです。

【参考文献】前川喜平:『小児がん患者への精神的ケア』, 日本小児医事出版社, p179

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