小さな居場所

多くの人が,自分の身体の大きさに合った小さな場所にいるとき,守られている感覚をもったり,落ち着いた気持ちで過ごすことができます。こどもたちにとっても,身体が包み込まれ,守られている感覚で過ごすことができる場所は,情緒を安定させてくれる存在です。そうした場所でこどもたちは,自分1人になって気持ちを整理したり,複数人で空想の世界に遊ぶこともあるでしょう。

 家庭でも,こどもたちはしばしば,押し入れや机の下など小さな場所を見つけて潜り込むことを好みます。多くの病棟では,こどもは自宅や自宅での部屋のサイズよりも大きな「病室」や「病棟」のなかで,また家族などとは違う,単純に同年代であったり同じ病気や怪我などではないこどもたちの集団のなかで,自分の居場所を見つける必要があります。常に広い場所にいることや,集団のなかにいることを強制されることは,わたしたちがそうであるのと同様に,多くのこどもたちにとってストレスになります。

 アルコーヴやデンと呼ばれる,潜り込める小さな空間は,こどもたちが「自分」であることができる,こどもたちにとってとても大切な空間です。そして,そうした場所はちょっとした工夫でもつくることができます。

(富山大学附属病院)

 写真は,小児病棟のプレイルームの奥に設置された,棚で囲まれたままごとゾーンで遊ぶこどもと付添の家族,そこに話しかける病棟保育士の様子です。ままごとのゾーンは靴を脱いで上がる場所になっています。しゃがむと,棚によって視界が遮られるので,落ち着いて遊ぶことができます。

 こどもたちは「小さな居場所」がとても好きです。写真のように,他の場所が空いていても,小さな場所に集まっている光景はしばしば見られます。このような,「みんなが自然に集まる場所」は,病棟内でのこどもたちどうしの関係構築にも寄与します([交流の拡がりを誘う空間])。

 この写真は,こども病院のなかに設置されたこども専用の図書館の一角の様子です。図書館の棚の高さなどはこどもの身体寸法に合わせて設計されています。棚に囲まれた読書のスペースでは,こどもと付添家族が他からの視線がない空間で落ち着いて本を読むことができるようになっています。

 写真は,中学生の患児がひとり,病棟プレイルームの奥まった窓辺で,1人で過ごしている様子です。プレイルームには他のこどもや付添家族もいますが,「みんなのなかでひとり」や,「ひとり」などのように,他者との距離の選択肢があることは自分らしく過ごすことという観点から,とても大切なことです。

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