「触」覚のある環境

  触覚は,皮膚の感覚であると同時に,身体を動かしたときの環境の応答や,風などの環境の動き,つまり身体と環境の関係を身体全体で感じる感覚でもあります。触覚がない状況を想像してみてください。衣服などで身体が守られていること,大切に抱きしめられていること,しっかりと大地に立っていること,椅子が身体を支えてくれていること,こうした感覚の全てがない状況です。動物である限り,人間はそのような状況にはとても耐えられないでしょう。触覚は,生き物が「ここ」にいることを体感する最も基本的な感覚です。

生活やくつろぎの雰囲気]のように,ファブリック(布系の素材)を採り入れると,環境にあたたかさや柔らかさを演出できます。

 写真は、プレイルームに置かれた大人のサイズのソファに家族が座り,車いすに座った患児と向かい合っている様子です。「布の質感の家具などは病棟にはなかったので,ほっとくつろげる」といった声が聞かれました。

 多様な「触」感覚は,足元からも得られます。[自国の文化を知り,親しむ]でも紹介しているように畳を採り入れ素足で過ごせる空間をつくるなどはそのひとつです。また,絨毯,フローリング,タイルなど室内でもさまざまな仕上げ素材を選んだり,部分的に使用することができます(一時的に絨毯を敷くなど)。足もとの感触が異なると,寝転がったり,身体を動かしてみたり,こどもの活動が違ってきます。足もとから多様な場所を用意することで,それぞれの場所性やそこでの過ごし方の違いを演出できます。

 畳のゾーンの上に,玩具のシートを敷いて遊んでいます。つるつるとした感触で,他の場所の感触とも違うものです。感触の違う仕上げ素材は,その場所が他とは違うという感覚,「場所性」をもたらします。

関連するキーワード

トップページへ戻る