物語が編み込まれた環境

 「物語」を通して、こどもたちが自分たちの状況を理解したり、納得できたりすることがあります。例えばイソップ童話などは、物語やたとえ話を通して、望ましい生き方や考え方を誘導しています。手には細菌などが付いて汚染されているので手を洗おうと呼びかけるポスターには、こどもにそのイメージが伝わるよう「ばい菌」のイラストをつけたりします。[プレパレーション]では、医療者の役割を演じることで自分の気持ちを吐露したり、落ち着けたりすることを紹介しています。物語は、こどもと世界の距離を調整してくれるものでもあります。

 こちらの小児病棟では、病棟全体のデザインにあたり、「森にはいろいろな動物たちが住んでいる。傷ついたり、病気になった動物たちは、森の真ん中にある大きな樹に集まり、癒してもらう」という物語を設定し、その物語に沿ってイラストが描かれたり、色彩設計がなされています。

(富山大学附属病院)

 壁や床には動物の絵を描かれ、全体的にやわらかい色彩が使われています。全体に、暖かみのある雰囲気が感じられます。病棟の各部屋のデザインを一つの物語にでてくる動物やキャラクターにする、各部屋の扉に、その部屋の用途を表現するイラストをつけるなど、一貫した物語が編み込まれています。病棟のいろいろいろなところにある動物や植物のイラストは、こどもたちの病棟に対する恐怖心を軽減させ、家族やスタッフとの会話のきっかけにもなっています。

 こうした環境づくりは、こどもたちの感性や、想像力、創造力を引き出していきます。これらは[「演じ」て理解する]ことや、[読み聞かせの演出]などによる世界の拡大にも関連します。

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