排泄の自立への配慮

 こどもにとっての「トイレ」とは、排泄行為のための空間だというだけではなく、排泄という基本的生活行為を学び、習慣づけるための空間でもあります。病棟のトイレは(個室のトイレも含めて)そのようなトレーニング空間としての意味合いは考慮されていないことが大半です。また、暗くてじめじめした、こどもにとって「怖い」空間であることもままあります。トイレは、こどもが喜んで行きたくなるような、明るく清潔で、不安を感じずにリラックスできる、あるいはみんなで楽しく利用できるような空間にしたいものです。

 幼児の場合は羞恥心もめばえ、就学に向けた準備という観点からも個別のブースを設けていくことになります。しかし、トイレ空間全体としては一人ずつ個別に利用するプライベートな空間としてではなく、こどもたちがみんなで積極的に赴くことのできるパブリックな空間としてのデザインも有り得ます。

■ 他の空間との連続性

 保育施設でのトイレの例です。保育室とトイレを完全に別室にするのではなく、壁の配置や高さによって緩やかに仕切っています。ウェットタイプではなくドライタイプの床仕上げで(*後注)、保育室と同じ材質で仕上げられています。トイレの習慣を適切に確立するためや、日々の使いやすさの観点から、日常の生活空間からの連続性があることが有効です。

 病棟などのトイレの場合、清・汚の管理のため、空気をつなげる(ドアを設けない)ことは難しい場合もあります。

 こちらは、保育室との間に仕切りがあるものの、大きな窓がとられていて、連続性を感じられるようにデザインされている例です。窓が天井にまで達していますので、天井面を見上げたときに連続性が感じられることがポイントです。

■ 「楽しい」トイレ

 保育室に設けられた円筒形のトイレ空間のその内部の様子です。

 このトイレには、トイレ内に数人で座れるベンチが造り付けられています。衣服の着脱がしやすいだけでなく、みんなでトイレにやってきて、他のこどもたちの様子を見ながら座って楽しく順番を待てる仕掛けでもあります。照明や装飾など、空間の密度感が高いことで親しみや安心感のわく空間となっています。こうした環境づくりによって、こどもたちにとってなじみやすいトイレとなっています。

❖ドライトイレ

 保育室とトイレとの境界をなくすとなると、気になってくるのがトイレの床仕上げ(床の材料)です。昔ながらのトイレの床仕上げは、タイル貼りなどの仕上げでした。お掃除の時には水を撒いて、デッキブラシでごしごし、というタイプです。衛生面でウェット仕上げがいいのだと言われてきたのですが、専門機関の検証により、水を撒いて掃除をするとかえって雑菌が繁殖してしまうことがわかっています。そこで、新しい建物では「ドライ仕上げ(ドライシステム)」を採用することが増えています。

 ドライ仕上げ、は特別な仕上げではなく、おうちのトイレと同じ仕上げのことです。ご家庭のトイレはたいがい、水を撒いて掃除はしませんね。ドライ仕上げのトイレはこどもたちにとっても違和感がなく、なじみやすいのです。

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