知識や物語の泉に触れる

 プレイルームなどで、「いまこどもたちに読んで欲しい本」「関心をもつだろう本」を選んで、表紙が見えるように飾ることがよくあります。表紙が見えるとやはりこどもは興味をそそられますし、本を読むことを誘うセッティングとして、とても有効です。

(富山大学附属病院)

 絵本の表紙が見えやすいように掲示する棚をつくっています。その場に座り込んで読むことができる場があり(床に座り込む、ベンチや椅子に腰掛ける)、本を読む「場」が成立しています。

 一方で、本屋さんや図書館などでたくさんの本を見ると、こどもたちは圧倒され、興奮しながら次々と本を手に取っていきます。これはという一冊を見て、それに触れることに加えて、世界にはたくさんの知識や物語があふれていることをヴィジュアルとして見て、その実感を得ることは、「見たい、知りたい」という欲求を直接的に刺激し、憧れや意欲の醸成につながっていきます。

 このような知識や物語への憧れや意欲は、創造性や思考力、豊かな感性や心情として結実していきます。先人たちや大人たち、ときには(かつての)同世代のこどもたちが自分に語りかけてくること、たくさんの「他者」がいることを意識することで、他者への気持ちや人に対する愛情など、関わる力を育てもするでしょう。

 こども病院の患者さんのための図書館にある、絵本に囲まれた小部屋です。外の世界から切り離されて、しばしその世界に没頭することや、小人数で守られた感覚の中で過ごすことができます。

 「物語」として描かれた内容によって、自分の置かれた状況を客観的に眺めたり、理解ができることがあります([「演じ」て理解する],[物語が編み込まれた環境])。命や、生と死、病気になるということなどを扱った本を病棟などでもつ場合には、こどもやご家族の状況に合わせて(不用意な衝撃とならないように)、保育士が管理し通常は出しておかないなどの配慮をするケースもあります。環境づくりとしては、季節やこうしたこどもの状況等に応じて本の入れ替えができるよう、オモテとウラ(バックヤード)をもつことが必要だと言えます。

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