遊びの可視化

 [アフォーダンスの演出]では、身体的な行為や行動、動作の誘発について説明しています。さらにここでは、「思わず〜したくなる」という環境による誘発を、心理的な面について説明します。

 目に見えているもの、聞こえるもの、香りなども含めて環境からの情報は、行為・行動や興味関心を刺激します。例えばおもちゃがしまわれていると、そのおもちゃで遊びたい、という気持ちは、今までの記憶のなかにあるそのおもちゃの存在や経験に基づいてのみ発現します。しかし、そのおもちゃが目に見える、手に届く場所に置かれている場合には、そのおもちゃで遊んだことのないこどもでも、あるいは今までそのおもちゃのことを思い出しもしなかったこどもでも、それで遊びたい、さわりたい、という気持ちをもちます。このように、遊びが見えていることでこどもたちの意欲や、主体性が育ちます。

 また、自分で遊びを見いだし、展開していくことで、思考力や豊かな感性、豊かな心情が育まれていくことでしょう。

 写真は保育施設での遊びごとのゾーンづくりの事例ですが、自動車とブロック遊びのゾーンがつくられています。棚や腰壁で視界が区切られ、遊びに集中できる環境となっています。棚には関連する玩具が置かれ、遊びの発展を誘います。床に敷かれた、道と街の建物の模様の絨毯が、この遊びのゾーンのシンボルになっており、遊び場所を強く印象づけています。ほかに、ままごと遊び、ごっこ遊び、制作・アート活動、調理活動([調理との関わり])、読書のゾーンなどがあります。また、お世話遊びと着替え遊び、ままごと遊びなどの関連する遊びが近しくゾーニングされていると、遊びの発展が支援されます。

 遊びの可視化は、囲われた感じとイコールではありません。ここでは、テーブルに平仮名の表が置かれ、はがきの見本と、ペンが一緒に置かれています。席について、表を見ながらお手紙書き(ごっこ)をするゾーンとしてつくられています。もちろん、お手紙を書くという遊びを通して、文字や言葉の練習をしているのですが、こどもたちにとってはあくまでも楽しい遊びのゾーンです。

(埼玉病院)

 こちらの病棟では、プレイルーム内の一角にままごと遊びに使用する玩具がまとめてあり、ままごと遊びのゾーンとして機能しています。このように、遊びと空間が関連づけられていることで、こども達が集中して遊ぶことができています。

 遊びの可視化が、遊びを誘うことに有効であるように、逆に遊びを「見えなくする」ことで、気持ちが散じてしまうことを防ぐこともできます。カーテンや扉のある棚の採用などで、情報量をコントロールすることもあるでしょう。

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