遊びの保存

 ここでは、[遊びの可視化]などでも触れている、遊びの内容による空間の切り分けや空間への意味づけ、作り込みをゾーニングと呼びます。

 多くの場合、こどもたちが遊びを一区切りするたび、あるいはしなければいけないタイミングで「お片付け」の声かけがあります。生活や活動にメリハリをつけ、けじめや整理整頓といった生活習慣を身につける上で、使っていた玩具を片付けることには、大切な役割があります。

 その一方で、遊びが保存することで、大きな作品をつくったり、友達の作品に後から参加したりといった、発展的な遊びや協力する遊びを促すこともできます。遊びの痕跡や、途上の成果が見えていることは、[遊びの可視化]にも通じる、遊びを誘う要因となります。また、いつでもその遊びに戻れると思えばこそ、遊びを中断して食事などの生活活動に移行することもできるでしょう。せっかく苦労してつくった、完成間近のお城を前にして、片付けて食事だと言われたら誰でも悲しい気持ちにはなるのは当然かとも思われます。食事なんかいいから、今この作品をつくり切らせて欲しい、だって今中断すると壊さなくちゃいけないんでしょ?それは嫌だ!と思う気持ちは、こどもたちの主体性や意欲そのものとも言えるでしょう。

 こどもたちの遊びの発展性や継続性を守り、生活のリズムと遊びを共存させるといった観点から、遊びを保存できる空間や決まりをもっている園も少なくありません。こうした環境づくりは、こどもの自主性・主体性や意欲を育てます。また、大きな作品づくりや継続して本を読むなどの遊びを通して創造性の芽生えや思考力を鍛えます。また、他のこどもが残している遊びを壊さないように気をつけたり気を使ったりすること、それを発展させて一緒に遊ぶなどの場面を通じて、他者を大切にする心・協調性も育まれていきます。

 この写真は保育施設の事例ですが、こちらでは保育室の中に、棚と壁で3面が囲われた積み木遊びのゾーンをつくっています。このゾーンのなかであれば、作品を壊さずに保存し、次々につくり足していくことができる決まりにしています。そのときどきで、遊びに参加するこどもの人数が異なり、例えばこの積み木のゾーンが今はたくさんのこどもたちの関心を集めているな、もっと大きな作品をつくりたそうだなということであれば、棚を動かしてゾーンを大きくするなどの工夫をしています。 逆に、小人数で落ち着いた遊び方をした方が良いなという時期であれば、ゾーンを小さくします。

 こちらは、ほぼ4面を棚や壁にかこまれた、線路遊びのゾーンです。わずかな隙間から出入りする、こどもたちだけの遊び場所になっています([「基地」空間]も参照してください)。棚の内側面には、線路や関連する玩具が置かれています。また壁面には鏡が貼られ、空間を広く感じるとともに、電車が走る様子を複数の視点から楽しむことができる仕掛けになっています。これは[立体的な空間の体験]につながる環境づくりでもあります。

 プレイルームの面積は限られていますから、なかなかこのように遊びを保存しておけるスペースを設けることは難しいことが多いでしょうが、「積み木のお城の一週間」などとしてイベントのように扱い、一定期間での遊びの保存と発展を図るなどの取り組みなどであれば、実現可能性があるかも知れません。

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