遊びの場の保障

 こどもたちに遊び内容に応じた「場」を保障することは、[遊びの保存]と同様に、いつでもその遊びに戻れるという安心感を与えます。こうした安心感があることで、遊びを中断して生活(休憩や食事など)や治療(検査や服薬など)の時間をとるなどの活動の移行もスムーズに行うことができます。

 「明日また遊ぼう」などの、病棟での生活や遊び、気持ちや人間関係の継続性や、見通しをもつことにもつながります。こうしたことは情緒の安定につながります。また連続する時間や日々のなかに自分の遊びを位置づけられることで、安定した気分のなかで感性や心情を深めることもできるでしょう。

 遊びの場の保障には、遊びの場所として特化したプレイルームがあることはもちろん、プレイルームが[遊びの可視化]などとともに、空間をそれぞれの遊びの内容に即して分割されていること(ゾーニング)が有効です。

 この病棟ではプレイルームのなかに、畳が敷かれた小上がりやテーブルを設けて、複数の居場所を作り出しています。テーブルは、食事や集まり、制作などの机遊びのための場所として位置づけられています。

 写真の様子からは、複数のこどもたちがそれぞれのペースや集団規模で、遊びを併存的に行っていることがわかります。また、机で制作をしているこどもは骨折で足の入院しているこどもですが、テーブルは車いすでもそのまま遊べる場所、小上がりが靴を脱いで寝転がったりして遊べる場所と、場所が使い分けられています。

 音楽や絵画、演技などで表現することはこどもたちの気持ちの発散や、自分で自分の気持ちを理解することなどを介して、情緒の安定や心情の醸成につながります。病棟の中に、そのような表現する遊びができるアトリエスペース([表現する-絵画、造形])や、演じるスペース(演じて理解する])があっても良いでしょう。

 このようなスペースはさらに外部のテラスやフリースペースなどに連続しているといった建築的な配慮があれば、つくったもので遊んだり、隣接するスペースで大きな作業をしたりといったさらに発展的な遊びも期待できるでしょう。建築空間と、建築内部のインテリアや設えといった、レベルの異なる環境が一体的につくられていることが、豊かで魅力的な環境をつくりだします。

 病棟の方針や疾患、対象とする年齢などによっては、遊びの空間を、家具などで視覚的にはあまり区切りたくないという場合もあります。そうした場合に遊びの内容に即して空間の一部を意味づけ、遊びの場を保障するためには、床材の変化が有効です。写真では、カーペットを敷いて、手前の空間と奥の空間を心理的に分けています。同様に、畳やタイルカーペット、コルクタイルなどの床素材を使うと、その場所が他と違う場所だという印象を与えることができます。

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